考える力(IQ)・感性や表現力(HQ)・心の豊かさや共感力(EQ)
バイオリンを続ける中で、こうした力が自然と育まれていくのは確かなことです。
でも、教室が目指しているのは、それらの力を“育てよう”とすることではありません。
音に心を込めること。
相手の音に耳を傾けること。
自分の気持ちに気づくこと。
そんな音楽との深い関わりの中で、気づけば心も頭も育っていく――
それこそが、音楽が子どもたちにくれる大切な贈り物だと考えています。
1つ目は「IQ」――知能指数です。
バイオリンを学ぶ中で、まず育つのが「考える力」――IQの部分です。
楽譜を読むときには、音の高さや長さ、強さなど、たくさんの情報を一度に処理します。
さらに両手を別々に動かしたり、細かい指の動きや音への反応など、脳全体を使う複雑な動きが自然に行われています。
音の違いを聴き分ける力も、集中力や分析力につながります。
重なった音の中から一つの音を聴き取る――これは大人でも難しいことです。
曲を覚えるときには、音の流れや感情も含めて記憶します。
その経験から記憶力も鍛えられ、暗記が得意になったというお子さんも少なくありません。
そして何より、目標に向かって努力する力が自然と身についていきます。
「この曲を仕上げたい」「ここを弾けるようになりたい」といった積み重ねが、計画性や問題解決力を育ててくれるのです。
2つ目は「HQ」――これは、思いやりの力とも言えるものです。
楽譜には、作曲家の想いが込められています。それを読み取り、音で表現する。これを繰り返すうちに、自然と「相手の気持ちを想像する力」が育ちます。
また、伴奏合わせやアンサンブルをするときには、お互いの音をよく聴き合い、タイミングを合わせる必要があります。この経験が協調性や社会性を高めてくれます。
そして演奏は、自己表現の場でもあります。
「私はこう感じた」「こんな風に伝えたい」――自分の内側にある思いを音にして表す。これは、言葉以外で自分を伝える力となり、将来人と関わる上での大切な基盤にもなります。
ある調査では、スポーツやなど他の習い事ではHQの向上が見られなかったのに対して、楽器だけは明らかな効果があったというデータもあるそうです。
そして最後に「EQ」――EQは、心を感じる力と表現できます。
「この曲を弾いていると、なぜか泣きたくなる…」
「このフレーズ、すごく嬉しくなる!」
そんな風に、自分の気持ちに気づき、それを受け止める。これは、大人でもなかなかできないことです。
感情を知り、それをうまくコントロールする力。バイオリンを通じて、これが自然に育ちます。
発表会での緊張、うまく弾けなかった時の悔しさ、乗り越えた達成感――これらはすべて、心を整えるトレーニングになっています。
EQが高い人は、ストレスに強く、人の感情にも寄り添える存在になります。これからの時代にますます求められる力ですね。
まとめ
バイオリンのレッスンは、単なる技術習得だけではありません。
そこには、
- 考える力(IQ)
- 思いやる力(HQ)
- 心を感じる力(EQ)
この3つをバランスよく育む工夫が詰まっています。
お子さまの成長や将来のために、バイオリンはとても力強いサポーターになると、私は信じています。